プライマリーヘルスケア事業
首都から100キロ北に位置するチボンボ群モンボシ地区。
周辺に比べて人口が多いにも関わらず、医療施設が遠く、医者や看護師もおらず、
薬も手に入りにくい状況にありました。
そんな地域保健医療の状況を改善し、住民(特にこどもとお母さん)の健康を守るためのプロジェクトです。
本プロジェクトの一部はJICA(独立行政法人国際協力機構)から「草の根技術協力事業」として委託を受けています。→JICAの助成を受けている事業概要はこちら
最低限の医療を保障するヘルスポスト(簡易診療所)の建設
ヘルスポストで受けられる保健医療サービスは、軽傷の手当や風邪、下痢などの疾病の治療、マラリア/結核の検査と薬の処方、HIV/AIDSの検査、母子検診(乳幼児の予防接種や、妊産婦検診)などです。
多くの開発プロジェクトにいえることですが、活動の持続性を考慮して、その国既存のシステムや組織を生かす形でプロジェクトを形成することが望まれます。
本プロジェクトも、ザンビア政府が予算不足で建設できないヘルスポストをTICOとJICAが協力して資金と建設のマネージメントを行いましたが、ヘルスポスト完工後(2009年3月)にチボンボ郡保健局に引き渡してからは、薬品や人件費を含む運営予算や人材はすべて郡から提供されています。そして郡から派遣された常駐看護師を中心にモンボシ地域住民が『自分たちのヘルスポスト』として運営してくれています。
プライマリー・ヘルスケアというのは、地域住民が主体となって、自らの健康を守ることであり、それは「医療」だけでなく農業や教育等の様々な分野の連携によって守ることができる、という考え方です。単なる「医療サービス」の提供だけでは、プライマリー・ヘルスケアは達成されないのです。
住民保健ボランティア、栄養改善普及員の人材育成
住民保健ボランティア等の人材を養成し、開設されたヘルスポストと看護師を中心に、地域住民の早期受診、初期治療のための医療アクセスの改善を目指しています。
同時に、Referral Hospital(紹介先病院)であるチサンバ・ヘルスセンター(モンボシから30〜40km南にある郡管轄の保健所/診療所。入院や手術が可能。)との連携を強化しています。
ヘルスポストと住民ボランティアが連携した保健活動
ヘルスポストを中心に、従来の出張検診・診療を住民保健ボランティア及び住民が補佐。身近な医療を実感・実施できるよう努めています。特に、妊産婦、5歳未満児及びその母親をターゲットとして活動を推進しています。
また、運営資金に関しても、現地のニーズに合わせチボンボ郡保健局と自分達で交渉、マネージメントをすることにより、住民が主体となった地域保健システムを機能させることが目標です。
乳幼児の栄養改善
住民保健ボランティアの中から、チャイルド・ヘルス・プロモーター(こどもの健康促進員)を養成し、5歳未満児の成長状況のモニタリングや栄養状態の地区診断等を実施。ヘルスポストで収集したデータと合わせ、これらの情報を基に母親に個別/集団栄養指導を行ってます。
また、ボランティア向けに料理教室も開催。栄養改善トレーナーとして、普段から手に入る素材を使いつつ、ひと工夫することでたんぱく質やビタミンを美味しく、効果的に摂取できるような料理の方法を学んでもらい、そこで学んだ知識をお母さん達に広めていこうとしています。
この料理教室には、ンゴンベ地区民生改善プロジェクトが実施されているンゴンベ・コミュニティースクールから副校長のチョラ先生(左の写真中央の女性)が講師として活躍しました!
2009年10月までのプロジェクトの様子は、ザンビア農村保健プロジェクトブログからご覧になれます。