住民主導村落開発小規模支援事業(モンボシ地区)
農村における課題は千差万別です。その課題に対して、村人が自らの資金と労力を用いて取り組む姿があります。しかし、村の資源は、特に現金という点で乏しく、道半ばで行き詰まり、当会に支援要請(提案)が上がってくることも。そのときの村人とのやり取りの中から、この事業は生まれました。
村人の主体的な課題解決への取り組みを、資金面と運営管理面からサポートすることで地域の発展に寄与することが本事業の目的です。2013年4月から始まり、2014年度末時点で8件の企画が採択されています。
事業紹介
教育環境の改善
モンボシ地区には公立校とコミュニティ・スクール※が大小合わせて10校ほど存在していますが、どの学校も、生徒の数に対する校舎数や設備、学習教材(生徒用、教員用)、教員数は十分とは言い難く、多くの場合は圧倒的に不足しています。
子どもたちにいい教育を受けてほしい、と思う村人・先生たちが中心となって行っている企画を支援しました。特に教員用住宅の建設は、有資格教員を政府から派遣してもらうための必須条件のため、ほぼ全ての学校で取り組まれる一般的かつ優先的な課題です。
マサカコミュニティスクール(マサカ村)、カリミナ小学校(カリミナ村)そして、カムロブエコミュニティスクール(カムロブエ村)で建設が進められています。
農村部保健医療改善事橋の建設(NPO法人道普請人/京都大学との連携)
モンボシ川は、乾期にも水が枯れない大きな川です。農業用水、生活用水の供給源として村の生活を支える一方、雨期に増水すると医療施設や学校に行けなくなってしまうという大きな問題も抱えていました。幅20-30メートルにも及ぶ橋の建設は、「小規模支援」を謳う当事業では本来カバーできない規模ですが、NPO法人道普請人から全面協力をいただき2014年より本格始動。
村人たちが結成した地域開発員会が、建築資材から作業員の手配、地域からの集金、式典の準備までを担います。出来るだけ村で手に入る資材と労力で建てられるように設計された橋は、2014年度末現在、人や自転車が安全に渡れる状態になりました。2015年には車も通れるようになる予定です。
家畜薬浴槽ディップタンクの建設(ンプンドゥ村)
農村部では医療機関が十分に整備されていないため、保健医療へのアクセスが容易ではありません。そういった地域のこどもとお母さんの健康を守るためのプロ モンボシ地区で飼われている牛、そして牛飼いの生活を守るため、2013年に始まりました。消毒液が入ったプールに、牛が飛び込んで身体のダニを殺虫するというシンプルなシステム。これが、家畜薬浴槽です。消毒用スプレーでは行き届かない箇所も、プールに浸かることで一瞬にして消毒液が行き渡ります。
現在モンボシ地区では、家畜薬浴槽が少なく、中には30kmも離れたところまで牛を連れて行かないといけない人たちも。牛飼いの願いを受け、ンプンドゥ村が立ち上がりました。この薬浴槽が完成すれば、約7000頭の牛が消毒に訪れ、村人にとって貴重な財産が守られるようになります。
出張健診用小屋建設(ンジョブ村)
ンジョブ村を含め、地域に住む子どもや妊婦のために、各地域月1回ずつ、モンボシヘルスポストの医療スタッフが、出張健診を実施しています。多くの場合、青空の下でそれは行われますが、強い日差しや風雨をしのぎ、また妊婦のプライバシーを確保するための小屋の建設をンジョブ村では住民主体で進めてきました。
村で手に入らない建設資材を当会からは主に支援し、2014年度末現在、約4割が完成しています。残すは屋根と床の施工のみ、寒い時期、暑い時期関係なく、母子が安心して参加できるシェルターになるでしょう。